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火災保険の被保険者に関するまめ知識

被保険者というのは、損害保険の場合、「保険事故の発生によって経済的損失を被る可能性のある者」のことをいいます。そして保険事故による損害が発生した場合、一般的に保険金を受け取る権利を有しています。
今回は、この「保険金を受け取る権利」にまつわる、ちょっとしたトラブル事例です。
舞台は個人で経営している診療所でした。院長であるご主人が亡くなりましたが、後継の院長をさがして運営するということで、奥様がそのまま火災保険を継続していました。什器設備は院長名義で購入しているので、火災保険の保険契約者は奥様、そして被保険者は亡くなった院長名義でした。
さて、ある日診療所の地域で集中豪雨が降った際、詰まった排水管からあふれ出した大量の雨水で診療所内に水漏れが発生しました。
無事損害確認の立会と損害額の査定が終わり、保険事故として保険金お支払いできることになったのですが、ここで問題発生です。
冒頭の一文に遭った通り、保険金を受け取る権利は損害保険の場合、被保険者になります。今回契約上の被保険者である院長は亡くなっています。では受取人はだれか?
勘の良いかたはお気づきだと思いますが、この場合は「法定相続人」が受け取る権利を有することになります。
法定相続人が奥様ひとりであれば、問題なく保険金をお受け取りいただけます。
ですがこの事例では戸籍謄本等の資料から、院長にご兄弟がいらっしゃることがわかりました。そうなると、各自に法定相続分を支払うか、もしくはご兄弟一人一人から、奥様に支払うことについての同意書が必要となります。
親族間の意思疎通が円滑でしたら、同意書の取り付けだけで支払いができますが、遺産分割などでもめている関係の場合、解決がつかず保険金が供託されてしまうこともあります。
この事例では、残念ながら保険契約の結び方でトラブルを回避することはできません。
被保険者も奥様にて契約した場合、後々他の法定相続人から保険会社を巻き込んだトラブルになってしまい、より手続きが大変になるだけです。
ですから、まずは相続で問題が起きないよう、遺言等の事前の準備が必要となります。
また、この仕組みを利用すれば、たとえば居抜き物件のオーナー所有の什器設備に、入居者が被保険者をオーナーにした保険を付保することで、双方のリスクを合理的に負担する方法など、便利な形で応用することができます。
(ただし、保険金額をしっかり査定し、メーカーに事前確認する手続きを忘れないでください。)

ぜひご参考になさってください。

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